R7年度学術変革領域研究B「ラダーポリマー科学〜日本の結合が紡ぐ革新」が採択されました。学変創設初年の2021年に応募初トライして以降、2度目の挑戦で採択していただきました。研究代表者5名、分担者3名の先生方で3年間のプロジェクトを邁進します。詳細はラダーポリマー科学のHPをご覧ください。
ラダーポリマー科学について
https://ladder-polymer-science.jp/research/
高分子科学は、1920年にStaudingerが「高分子説」を提唱して以来、最先端材料科学から生命科学に至るまで広範な分野に深く関与する重要な研究領域として、過去100年以上にわたり継続的に発展してきました。高分子は一般に、「モノマー」と呼ばれる小さな単位が、化学結合によってひも状に連なった巨大分子であり、ビーズが連なったネックレスのような構造としてイメージすることができます。では、
「モノマー単位をつなぐ結合を、もう一本増やしたらどうなるだろうか?」
このような高分子は、主鎖が「はしご」のような構造をもつことから「ラダーポリマー」と呼ばれています。通常のポリマー(1本鎖ポリマー)では、モノマー間をつなぐ結合が1本であるため、結合軸周りで自由に回転できます。その結果、分子全体の構造が不規則になりやすくなります。一方、ラダーポリマーでは、モノマー同士が2本以上の化学結合で連結されているため、主鎖の回転運動が著しく制限され、結果として、分子全体の構造秩序は飛躍的に高まります。この「たった1本の化学結合の追加」がもたらす制限されたコンホメーション挙動により、1本鎖ポリマーとラダーポリマーの物性には決定的な差異が生じうります。 このように、ポリマーに2本目の結合を追加するという極めてシンプルな設計概念は、1本鎖ポリマーをもっぱら扱ってきた既存の高分子科学を構造・機能の両面から大きく進展させる可能性を秘めています。しかし、高分子科学の最先端の技術をもってしても、ラダーポリマー合成は依然として困難であり、合成例自体が非常に限られているのが現状です。本研究領域では、次世代の革新物質の創出を牽引する「ラダーポリマー科学」の未来を切り拓き、世界を先導するために、ラダーポリマーの「合成法の技術革新」、「構造多様性の飛躍的拡張」、「物性解明と高度機能開拓」を目指します。


