L-Region-selective annulative π-extension through dearomative activation of polycyclic aromatic hydrocarbons

Kanami Nakata, Wataru Matsuoka, Hideto Ito* and Kenichiro Itami*
Chem. Sci. 2026, 17, 3998–4003. DOI: 10.1039/D5SC09309K

Selected as an Inside Front Cover Art.
Part of themed collections “Celebrating 200 Years Benzene”

L領域選択的な縮環π拡張反応(L-APEX)。2nd著者の松岡くん(現北大)が2021年にNat. Commun.(https://www.nature.com/articles/s41467-021-24261-y)で報告したM-APEXの続報です。1st著者の中田くんが修士課程までの3年で形にしてくれた作品でとても苦労しました。収率低い、ステップ数も1段階ではない、スコープもそこまで広くない、は自分たちでも十分承知していますが、これまで例のなかったL-APEXを達成できたことに大きな意義があると思っています(それを認めてくれた査読者と編集者に感謝)。そして英国王立化学会でM. Faradayのベンゼン発見200周年記念特集号に論文を出せてよかった(まさにベンゼン化学)。2人に感謝、特に第一著者で3年間このプロジェクトを遂行してくれた中田君に祝杯をあげたいと思います。

縮環π拡張反応(APEX)は、非官能基化多環方向族炭化水素(PAH)からより大きなナノグラフェンを合成する有用な有機合成手法である。PAHのK領域、M領域、bay領域におけるAPEX反応は開発されているが、L領域選択的APEXは未だ達成されていない。本研究では、N-メチルトリアゾリンジオン(M-TAD)による脱芳香族化活性化に続いて、Pd触媒によるアリールグリニャール試薬との環化反応を行うことで、非官能基化PAHからの段階的なL領域選択的APEXを実現した。このL-APEXにより、非官能基化ナフタレン、フェナントレン、クリセン、[4]ヘリセンから、様々な合成困難なナノグラフェンを合成できる。

また、カバーピクチャーを飾ることができました。絵は伊藤自身が作成しています。1年間で3回目のChem Sciカバーピクチャー採択です。今回は自分で一から作ってみました。APEX反応におけるこれまで未開発だったL領域でのπ拡張反応をイメージしており、埋まらないピース(a missing piece)に最後のピースがはめ込まれる様子です。子供のおもちゃをイメージ。2匹の猫(cat)は界隈あるあるですが、2段階のパラジウム触媒反応を示しています。カメラはなんとなく、伊藤の趣味です。秘書さんに見せたら「お父さんぽい」と言われましたが、その通り、息子が生まれる前だと思い付かないイメージなのは間違いない。

写真は以前の論文での共著者David Sarlah教授が2022年12月に名古屋大学をおとずれて講演してくれた時のもの。チームAPEX、左から川原巧君(2023年博士)、伊藤、Sarlah教授、中田奏未君(2024年修士)とPC上で松岡和君(2022年博士、現在北大特任准教授)

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